数字専用記号の実際のグリフ
単語ではなく「量」を直接表す記号
Section titled “単語ではなく「量」を直接表す記号”数字と数え方では、シュメール語の六十進法と、話し言葉としての数詞(diš「1」、min「2」など)を扱った。これらの数詞とは別に、楔形文字には数量そのものを直接表す専用の数字記号があり、行政・経済文書で数量を記録する際にはこちらが多用される。本記事では、その実際のグリフを見ていく。
1〜9:刻線数字
Section titled “1〜9:刻線数字”後代(特に古バビロニア時代)の粘土板では、1〜9までの数はそれぞれ専用の刻線数字(複数の楔をまとめた1つの記号)で表されることが多い。
| 数 | グリフ | 対応するサイン名 |
|---|---|---|
| 1 | 𒁹 | DIŠ |
| 3 | 𒐈 | 3(DIŠ) |
| 4 | 𒐉 | 4(DIŠ) |
| 5 | 𒐊 | 5(DIŠ) |
| 6 | 𒐋 | 6(DIŠ) |
| 7 | 𒐌 | 7(DIŠ) |
| 8 | 𒐍 | 8(DIŠ) |
| 9 | 𒐎 | 9(DIŠ) |
10の倍数:専用記号
Section titled “10の倍数:専用記号”10・20・30・40・50・60についても、それぞれ専用のグリフが使われる。
| 数 | グリフ | 対応するサイン名 |
|---|---|---|
| 10 | 𒌋 | U |
| 20 | 𒎙 | U.U |
| 30 | 𒌍 | U.U.U |
| 40 | 𒐏 | 4(U) |
| 50 | 𒐐 | 5(U) |
古い体系:同じ形を「大きさ」で使い分ける印影数字
Section titled “古い体系:同じ形を「大きさ」で使い分ける印影数字”これらの刻線数字が確立する以前、より古い(初期の会計トークン由来の)体系では、数字は専用の印影の「大きさ」によって位取りを示していた。数字と数え方で紹介したとおり、この古い体系では次のような使い分けがあった。
| 数 | グリフ(対応するサイン名) | 説明 |
|---|---|---|
| 1 | 𒁹(DIŠ) | 小さな印影 |
| 60 | 𒁹(DIŠ、大) | 1と同じ形だが、大きな印影 |
| 10 | 𒌋(U) | 小さな印影 |
| 600 | 𒌋(U、大) | 10と同じ形だが、大きな印影 |
| 3600(60×60) | 𒊹(ŠAR2) | さらに大きな円形の専用記号 |
このように、60進法の位が上がるごとに、まったく新しい記号を発明するのではなく、既存の形を「サイズ違い」で使い回すという合理的な工夫がなされていた点は興味深い。
💬 学びのコラム:数字は"フォントサイズ"で位取りする
エン:ニン、古い体系だと「1」も「60」も同じ形なのに、印影の大きさだけで区別してたんだって。
ニン:それって、文字のフォントサイズを変えて意味を変えるようなものだね。ちょっと大胆な発想。
エン:後の時代になると、1〜9や10の倍数それぞれに専用のグリフが用意されて、もっと読み取りやすくなったんだ。
ニン:数字の書き方1つとっても、何百年もかけて少しずつ「読みやすさ」が進化していったんだね。
理解度チェック
Section titled “理解度チェック”📝 理解度チェック
Q1. 数字専用記号は、話し言葉としての数詞(`diš`、`min`など)とどう違うか。
✅ 正解です!
❌ 不正解です。正解は B「数字専用記号は数量そのものを直接表し、行政・経済文書で多用される」。
解説:「楔形文字には数量そのものを直接表す専用の数字記号があり、行政・経済文書で数量を記録する際にはこちらが多用される」とある。
Q2. 後代の粘土板で、1〜9の数を表すのに使われた記号はどのようなものか。
✅ 正解です!
❌ 不正解です。正解は A「複数の楔をまとめた1つの専用の刻線数字」。
解説:「1〜9までの数はそれぞれ専用の刻線数字(複数の楔をまとめた1つの記号)で表されることが多い」とある。
Q3. 古い(印影サイズによる)体系で、60はどのように表されたか。
✅ 正解です!
❌ 不正解です。正解は B「1と同じ形だが、大きな印影」。
解説:表に「60|𒁹(DIŠ、大)|1と同じ形だが、大きな印影」とある。
Q4. 古い体系が60進法の位が上がるたびに採用した工夫は何か。
✅ 正解です!
❌ 不正解です。正解は B「既存の形をサイズ違いで使い回すこと」。
解説:「60進法の位が上がるごとに、まったく新しい記号を発明するのではなく、既存の形を『サイズ違い』で使い回すという合理的な工夫がなされていた」とある。
Q5. 学びのコラムでニンが、古い印影数字の体系を何にたとえているか。
✅ 正解です!
❌ 不正解です。正解は B「文字のフォントサイズを変えて意味を変えること」。
解説:ニンは「それって、文字のフォントサイズを変えて意味を変えるようなものだね」と述べている。