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動詞活用の基礎

古ノルド語の動詞は、不定詞(辞書形)が -a で終わるのが基本形である(例:kalla「呼ぶ」、tala「話す」)。動詞は主語の人称・数に応じて語尾変化し、さらに現在形・過去形の区別を持つ。この記事では最も規則的な変化パターンを持つ弱変化動詞を例に、活用の骨格をつかむ。

人称 単数 複数
1人称 -a -um
2人称 -ar -ið
3人称 -ar -a
人称 単数 複数
1人称 kalla köllum
2人称 kallar kallið
3人称 kallar kalla

(1人称複数 köllum に見られる a→ö はu-ウムラウトによるもの。古ノルド語の音韻体系を参照。)

弱変化動詞の過去形は、語幹に歯音接尾辞(-ð-, -d-, -t- のいずれか)を挿入して作られる。kalla の場合は -að- が入る。

人称 単数 複数
1人称 kallaða kölluðum
2人称 kallaðir kölluðuð
3人称 kallaði kölluðu

この歯音接尾辞による過去形の作り方は、英語の弱変化動詞(call → called)にもそのまま痕跡が残っている。英語の -ed と古ノルド語の -ð- は同じゲルマン祖語の歯音過去接尾辞に由来する、いわば「文法上の親戚」である。

ek kalla hana
ek kall-a hana
私(主格) 呼ぶ-1単現在 彼女(対格)
「私は彼女を呼ぶ」
hann kallaði mik
hann kalla-ði mik
彼(主格) 呼ぶ-3単過去 私(対格)
「彼は私を呼んだ」
オーディン

💬 学びのコラム:call と kalla は文字通り親戚

オーディン:フレイヤ、英語の "call" と古ノルド語の "kalla" って似てると思わない?

フレイヤ:本当だ、意味も「呼ぶ」で同じだし。ヴァイキングが英語に単語を貸したの?

オーディン:実はその通り。9〜11世紀のデーンロー(ヴァイキングが定住した北イングランド)を通じて、古ノルド語の単語が大量に古英語・中英語に流入したんだ。"call" もその一つだと考えられている。

フレイヤ:過去形の作り方まで似ているのは、単語を借りたからだけじゃなくて、そもそも英語と古ノルド語が同じゲルマン語族の兄弟言語だからなのね。