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複数を表す方法

シュメール語で最も規則的な複数表現は、人間(有生)を表す名詞に付く接尾辞 -ene である。

𒇽 𒇽𒂊𒉈

lu2 lu2-ene
ルー ルー・エネ
人 人-複数
「人」 「人々」

-ene 𒂊𒉈 は名詞句の並び順の中では、属格句や指示詞の後、格接尾辞の前という位置に置かれる。

無生物(建物・道具・動植物など)を表す名詞は、多くの場合、単数形と複数形が同じ形のままで区別されない。数量を明示したい場合は、数詞や「多くの」を表す語を添えることで対応する。

重複形による「全体性」の表現

Section titled “重複形による「全体性」の表現”

一部の名詞や形容詞は、語を重複させる(同じ語を2回重ねる)ことで、複数というより「すべての」「あらゆる」という全体性・分配性を表すことがある。

𒆳𒆳 𒃲𒃲

kur-kur gal-gal
クル・クル ガル・ガル
山(外国)-山(外国) 大きい-大きい
「あらゆる国々」 「(それぞれが)大きいもの」

動詞語幹の交替による複数表現

Section titled “動詞語幹の交替による複数表現”

シュメール語の興味深い特徴の一つに、一部の動詞が、主語や目的語が単数か複数かによって、全く異なる語根(語幹)を用いる「補充法(サプレション)」がある。

意味 単数の語幹 カタカナ 複数の語幹 カタカナ
死ぬ uš2 𒁁 ウシュ ug7 𒁁 ウグ
座る・住む tuš トゥシュ durunx(DU.DU 𒁺𒁺) ドゥルン

たとえば「死ぬ」という動詞は、死ぬ主体が1人か複数かによって、uš2 と ug7 という翻字上は全く見た目の異なる語根が使い分けられる(興味深いことに、両者は実際には同じ楔形文字の記号 𒁁 の異なる読みとして書き分けられる)。これは日本語の「(人が)死ぬ」と「(人々が)死ぬ」のように動詞自体は変えずに済ませる言語とは対照的な特徴である。

ニン

💬 学びのコラム:「山々」はシュメール語にもあった

ニン:`kur-kur`(あらゆる国々)って見て、あ、これ日本語の「山々」「人々」と同じ発想だ!って思っちゃった。

エン:面白いよね。日本語も同じ単語を重ねて「たくさん」や「それぞれ」を表す。系統的には無関係な2つの言語が、似た発想に行き着いてるんだ。

ニン:逆に「死ぬ」が単数と複数で `uš2` と `ug7` とまったく別の形になるのは、日本語にはない感覚で新鮮だった。

エン:似ている部分と、まったく違う部分。両方見つけると記憶に残りやすいよ。

📝 理解度チェック

Q1. 人間(有生)名詞の複数を表す最も規則的な接尾辞は何か。

✅ 正解です!

❌ 不正解です。正解は B「-ene」。

解説:本文冒頭に「シュメール語で最も規則的な複数表現は、人間(有生)を表す名詞に付く接尾辞 `-ene` である」とある。

Q2. 接尾辞 `-ene` は名詞句の並び順の中でどこに置かれるか。

✅ 正解です!

❌ 不正解です。正解は D「属格句や指示詞の後、格接尾辞の前」。

解説:本文に「`-ene` は名詞句の並び順の中では、属格句や指示詞の後、格接尾辞の前という位置に置かれる」とある。

Q3. 無生物名詞(建物・道具など)の複数表現について本文が述べているのはどれか。

✅ 正解です!

❌ 不正解です。正解は A「単数形と同じ形のままで、数詞などを添えて数を示す」。

解説:本文は「無生物…を表す名詞は、多くの場合、単数形と複数形が同じ形のままで区別されない。数量を明示したい場合は、数詞や『多くの』を表す語を添える」と説明している。

Q4. `kur-kur` のような重複形が主に表すものは何か。

✅ 正解です!

❌ 不正解です。正解は C「『あらゆる』『すべての』という全体性・分配性」。

解説:本文は「重複させる…ことで、複数というより『すべての』『あらゆる』という全体性・分配性を表すことがある」と説明し、`kur-kur`(あらゆる国々)を例に挙げている。

Q5. 動詞「死ぬ」について本文が指摘する興味深い点はどれか。

✅ 正解です!

❌ 不正解です。正解は B「主体が単数か複数かで `uš2` と `ug7` という全く異なる語根が使われる(実は同じ楔形文字記号の異なる読み)」。

解説:本文は「死ぬ主体が1人か複数かによって、`uš2` と `ug7` という翻字上は全く見た目の異なる語根が使い分けられる」とし、「両者は実際には同じ楔形文字の記号 𒁁 の異なる読みとして書き分けられる」と補足している。