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強変化動詞と弱変化動詞

弱変化と強変化、2つの過去形の作り方

Section titled “弱変化と強変化、2つの過去形の作り方”

古ノルド語の動詞は、過去形の作り方によって大きく2種類に分けられる。

  • 弱変化動詞(weak verbs):語幹に歯音接尾辞(-ð-, -d-, -t-)を付加して過去形を作る(動詞活用の基礎で扱った kalla が典型例)。
  • 強変化動詞(strong verbs):接尾辞を付けず、**語幹母音そのものを交替させる(アブラウト, ablaut)**ことで過去形を作る。英語の sing – sang – sung と同じ仕組みである。

強変化動詞は古ノルド語の基本語彙に多く含まれ、母音交替のパターンによって伝統的に7つのクラスに分類される。

強変化動詞は、辞書や文法書では通常4つの「主要形」で提示される。

主要形 説明
不定詞 辞書形
過去単数形 1・3人称単数過去
過去複数形 過去複数(および2人称単数過去の語幹)
過去分詞 完了の分詞形

クラスI強変化動詞の例:bíta(噛む)

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母音交替のパターンが最もわかりやすいクラスI(í – ei – i – i)を例に見てみよう。

主要形 母音
不定詞 bíta í
過去単数形 beit ei
過去複数形 bitu i
過去分詞 bitinn i

bíta の現在形・過去形の人称変化

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人称 現在単数 過去単数 過去複数
1人称 bít beit bitum
2人称 bítr beitt bituð
3人称 bítr beit bitu
hann beit orminn
hann beit orm-inn
彼(主格) 噛んだ 蛇-その(対格)
「彼はその蛇を噛んだ」

「強変化・弱変化」という呼び名自体は19世紀の文法学者ヤーコプ・グリムに由来する。動詞自体の語幹の力だけで(外部からの接尾辞なしで)過去形を作れる強変化動詞を「強い」、歯音接尾辞という外部の助けを借りる弱変化動詞を「弱い」と形容したことによる。歴史的には強変化動詞のほうが古い(印欧祖語のアブラウト体系を引き継ぐ)層であり、弱変化動詞はゲルマン語の段階で発達した新しい仕組みである。

フレイヤ

💬 学びのコラム:sing-sang-sungと同じ仕組み

フレイヤ:オーディン、*bíta – beit – bitu – bitinn* って、なんだか英語の sing – sang – sung に似ていない?

オーディン:よく気づいたね。実はこれ、偶然の一致じゃなくて、英語とアイスランド語が共通の祖先であるゲルマン祖語から受け継いだ、まったく同じ「母音交替(アブラウト)」という仕組みなんだ。

フレイヤ:じゃあ英語で不規則動詞を覚えるときの苦労が、そのまま古ノルド語を学ぶときの助けになるってことね。

オーディン:まさに。英語の不規則動詞の多くは、実は古ノルド語の強変化動詞と同じ「規則」に従っているんだよ。