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代名詞(人称代名詞・指示代名詞)

シュメール語には、動詞の接頭辞・接尾辞とは別に、単独で用いられる「独立人称代名詞」が存在する。特によく確認されているのは1人称・2人称単数の形である。

人称 カタカナ読み 意味
1人称単数 ĝe26-e ゲ・エ 私(が/は)
2人称単数 za-e ザ・エ あなた(が/は)
ĝe26-e lugal-me-en
ゲ・エ ルガル・メ・エン
私 王-繋辞-1人称
「私は王である」

3人称や複数の代名詞についても諸研究で形が挙げられているが、用例が少なく解釈に幅があるため、本記事では特によく確立されている1・2人称単数の形にとどめる。

シュメール語で「それ」「その」に相当する働きをする代表的な語が bi である。bi は名詞の後ろに付き、既に話題に出た事物を指し示す「指示」の用法と、所有者などを受ける「照応(〜のそれ)」の用法の両方で用いられる。

e2-bi
エ・ビ
家-それの
「その家」「それの家」

なぜ代名詞体系は複雑に見えるのか

Section titled “なぜ代名詞体系は複雑に見えるのか”

シュメール語の代名詞体系は、動詞の人称接辞(人称接辞と動詞の基本構造を参照)と役割が重なる部分が多く、独立代名詞が使われる文脈は日本語や英語ほど頻繁ではない。多くの場面では、代名詞を独立して置かなくても、動詞や名詞に付く接辞だけで「誰が」「何を」が示されるためである。

ニン

💬 学びのコラム:指さしゲームで代名詞を覚える

ニン:エン、指さしゲームしよう。自分を指さしたら `ĝe26-e`(私)、相手を指さしたら `za-e`(あなた)って言うの。

エン:いいね。(自分を指して)`ĝe26-e`!(ニンを指して)`za-e`!

ニン:じゃあ、さっき話した家を指さしたら?

エン:`e2-bi`(その家)だね。実はシュメール語って、動詞にすでに"誰が"の情報が入っているから、こういう独立代名詞をわざわざ使う場面は日本語や英語より少ないんだって。だからこそ使われる時は、指さしみたいに意味がくっきりするんだよ。