格接尾辞の一覧(格標識体系の概観)
シュメール語の格標識体系
Section titled “シュメール語の格標識体系”シュメール語は名詞の後ろに格接尾辞を付加することで、その名詞が文中で果たす役割(動作主、対象、場所、方向など)を示す膠着語である。研究者によって呼称や分類の細部は多少異なるが、一般的に次のような格が認められている。
| 格 | 接尾辞 | 楔形文字 | カタカナ読み | 主な用法 |
|---|---|---|---|---|
| 絶対格 | 無標(∅) | ― | (読まない) | 自動詞の主語、他動詞の目的語 |
| 能格 | -e |
𒂊 | エ | 他動詞の主語(動作主) |
| 属格 | -ak |
𒀀 | アク | 所有・限定(「AのB」) |
| 与格 | -ra |
𒊏 | ラ | 動作の受け手・受益者(主に人・神) |
| 処格 | -a |
𒀀 | ア | 場所(「〜において」、主に無生物) |
| 向格(処格・方向格) | -e |
𒂊 | エ | 方向・到達点(「〜へ」、能格と同形だが機能が異なる) |
| 終端格 | -še3 |
𒂠 | シェ | 到達点・目的(「〜まで」「〜のために」) |
| 奪格・具格 | -ta |
𒋫 | タ | 起点・手段(「〜から」「〜によって」) |
| 共格 | -da |
𒁕 | ダ | 同伴(「〜と一緒に」) |
| 等格 | -gin7 |
𒁶 | ギン | 比較・類似(「〜のように」、索引番号7は読まない) |
格接尾辞の付く位置
Section titled “格接尾辞の付く位置”格接尾辞は、これまでに見た名詞句の並び順(名詞→形容詞→属格句→指示詞→複数標識→格接尾辞)の一番最後、すなわち名詞句全体の末尾にただ一度だけ付加される。名詞句がどれだけ長くなっても、格接尾辞は句全体に対して1つだけである。
𒂍 𒈗𒀀𒂊
e2 lugal-ak-eエ ルガル・アク・エ家 王-属格-能格「王の家が(〜を建てた等)」この記事の位置づけ
Section titled “この記事の位置づけ”各格の詳細(特に属格・与格・処格・終端格など)は、それぞれ個別の記事でより深く扱う。まずはこの一覧表で「シュメール語には格接尾辞という仕組みがあり、それぞれの接尾辞に固有の役割がある」という全体像を掴んでおきたい。
💬 学びのコラム:格接尾辞は「荷物タグ」
ニン:格接尾辞が10種類もあるって聞くと、ちょっと身構えちゃう。
エン:コツは「1つの名詞句に対して、タグは最後に1枚だけ」って覚えることだよ。`e2 lugal-ak-e` は "家" も "王" も長く連なっているのに、空港の荷物タグみたいに一番後ろに `-e` が1つ貼られるだけ。
ニン:じゃあ日本語の助詞「が」「の」「に」みたいに、句の最後にペタッと貼ればいいってことね。
エン:そう考えると、10種類の格も「行き先ラベルの種類が10通りある」ってだけで、そんなに怖くないでしょ?
理解度チェック
Section titled “理解度チェック”📝 理解度チェック
Q1. 絶対格を示す接尾辞はどれか。
✅ 正解です!
❌ 不正解です。正解は B「無標(∅)」。
解説:表にある通り、絶対格は接尾辞を付けない無標の形で、自動詞の主語や他動詞の目的語を示す。
Q2. 能格接尾辞 -e が示す役割は何か。
✅ 正解です!
❌ 不正解です。正解は A「他動詞の主語(動作主)」。
解説:表に「能格 -e:他動詞の主語(動作主)」とある通り、-e は行為を行う主体を示す。
Q3. 名詞句がどれだけ長くなっても、格接尾辞はいくつ付加されるか。
✅ 正解です!
❌ 不正解です。正解は C「句全体の一番最後にただ1つだけ」。
解説:本文に「名詞句がどれだけ長くなっても、格接尾辞は句全体に対して1つだけである」と明記されている。
Q4. 名詞句の並び順(名詞→形容詞→属格句→指示詞→複数標識→格接尾辞)で、格接尾辞の直前に来る要素はどれか。
✅ 正解です!
❌ 不正解です。正解は D「複数標識」。
解説:本文の並び順「名詞→形容詞→属格句→指示詞→複数標識→格接尾辞」の通り、複数標識が格接尾辞の直前に位置する。
Q5. 例文 `e2 lugal-ak-e`(王の家が)の末尾の -e は何を示しているか。
✅ 正解です!
❌ 不正解です。正解は B「能格(他動詞の主語)」。
解説:`lugal-ak` で「王の」という属格句が作られた上で、句全体の末尾に能格 -e が付き、「王の家が(〜を建てた等)」という動作主を示している。