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プドゥヘパ王妃の祈りを読む

プドゥヘパは、キズワトナ地方(アナトリア南東部)出身のフルリ人で、女神官の家系に生まれ、のちにヒッタイト王ハットゥシリ3世(前13世紀)の王妃となった人物である。プドゥヘパは単なる王の配偶者にとどまらず、外交文書にも自ら関与したことで知られ、エジプトとの和平条約(カデシュの和平条約)には、夫ハットゥシリ3世の印章と並んで、プドゥヘパ自身の印章が押されていたことが確認されている。

プドゥヘパが残した祈祷文の一つは、ヒッタイト王国の最高位の女神であるアリンナの太陽女神に、夫ハットゥシリ3世の健康と長寿を願う内容である。この祈祷文で特に興味深いのは、プドゥヘパが、アリンナの太陽女神を、自らの出身地キズワトナで信仰されていたフルリの女神ヘパトと同一視して呼びかけている点である。

以下は、この祈祷の趣旨を伝える、学習用に単純化した例文である。

DUTU URU-Ar-in-na GAŠAN-YA
ドゥトゥ・ウルアリンナ・ガシャンヤ
太陽女神(限定符付き) アリンナ市(の) 我が女主人(アッカドグラム)
「アリンナ市の太陽女神、我が女主人よ」
nu-ut-ta ke-e-da-ni me-ḫu-ni ᴰḪé-pát-tar-na te-eḫ-ḫi
ヌッタ・ケーダニ・メフニ・ヘパトタルナ・テッヒ
そしてあなたに この 時に (限定符)ヘパトとして 私は呼ぶ-1単現
「そして私はこの時、あなたをヘパトとしてお呼びいたします」

神々の等置(習合)という現象

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複数の異なる文化の神々を「同一の存在の異なる呼び名」とみなす習合的な発想は、古代西アジア一帯に広く見られる。プドゥヘパの祈祷文は、ヒッタイト王国の中心的な女神とフルリの女神を意図的に重ね合わせることで、多民族・多言語からなる帝国の宗教的な統合を象徴的に表現していると解釈されている。プドゥヘパ自身がフルリ出身であったことを踏まえると、この等置には、彼女個人の信仰的な背景と、王妃としての公的な立場の両方が反映されていると考えられる。

祈祷文の後半では、プドゥヘパが夫ハットゥシリ3世の健康と長寿を女神に願う内容が続く。ハットゥシリ3世は生涯を通じて健康上の問題を抱えていたと伝えられており、プドゥヘパの祈祷文には、王の健康回復を切実に願う王妃の個人的な思いがにじんでいるとされる。

ウルシェム

💬 学びのコラム:「あなたはヘパトでもあります」という呼びかけ

ウルシェム:タルフンナ、プドゥヘパ王妃の祈りって、わたしのことを「アリンナの太陽女神であり、同時にヘパトでもある」って呼びかけているの。

タルフンナ:え、それって二人の別々の女神ってこと? それとも同じ女神が二つの名前を持っているってこと?

ウルシェム:後者の考え方ね。プドゥヘパはフルリ出身だったから、自分の故郷の女神ヘパトと、ヒッタイトの中心的な女神を「同じ方の別のお名前」として重ね合わせたのよ。

タルフンナ:いろんな民族が暮らす帝国だからこそ、神様同士も仲良く「同一視」されていたんだね。

📝 理解度チェック

Q1. プドゥヘパはどのような出自の人物か。

✅ 正解です!

❌ 不正解です。正解は A「キズワトナ地方出身のフルリ人で、女神官の家系に生まれた」。

解説:プドゥヘパはキズワトナ地方出身のフルリ人で、女神官の家系に生まれた。

Q2. プドゥヘパが外交面で果たした役割として本文が述べているのはどれか。

✅ 正解です!

❌ 不正解です。正解は A「カデシュの和平条約に自らの印章を押した」。

解説:カデシュの和平条約には夫の印章と並んでプドゥヘパ自身の印章が押されていた。

Q3. プドゥヘパの祈祷文でアリンナの太陽女神と同一視されているのはどの女神か。

✅ 正解です!

❌ 不正解です。正解は A「フルリの女神ヘパト」。

解説:プドゥヘパはアリンナの太陽女神をフルリの女神ヘパトと同一視して呼びかけている。

Q4. この神々の等置が象徴していると解釈されるのは何か。

✅ 正解です!

❌ 不正解です。正解は A「多民族・多言語からなる帝国の宗教的な統合」。

解説:神々の等置は多民族・多言語からなる帝国の宗教的な統合を象徴的に表現していると解釈されている。

Q5. 祈祷文の後半でプドゥヘパが女神に願う内容は何か。

✅ 正解です!

❌ 不正解です。正解は A「夫ハットゥシリ3世の健康と長寿」。

解説:祈祷文の後半でプドゥヘパは夫ハットゥシリ3世の健康と長寿を女神に願っている。