コンテンツにスキップ

名詞句の構造と限定表現

シュメール語の名詞句は、中心となる名詞を先頭に置き、その後ろに修飾要素を決まった順序で積み重ねていく。基本的な並び順は以下の通りである。

名詞 → 形容詞 → 属格句(所有者-ak) → 指示詞 → 複数標識(-ene) → 格接尾辞

すべての要素が毎回現れるわけではないが、複数の修飾語が共起する場合は必ずこの順序に従う。

「AのB」(Bが所有者・限定者)を表すには、所有される名詞Aの後ろに、所有者Bと属格接尾辞 -ak を置く。

e2 lugal-ak
エ ルガル・アク
家 王-属格
「王の家」

-ak は後ろに母音が続く場合はそのまま現れるが、後ろに子音(や句の終わり)が続く場合は -a として現れることが多い。たとえば「王の家(が)」のように格接尾辞が続かない文末の位置では、しばしば e2 lugal-la のような表記(-akk が脱落し、代わりに直前の子音が重複して現れる)が見られる。

属格句はさらに入れ子にすることができ、「AのBのC」のような多段階の所有関係も表現できる。

ka2 e2 lugal-ak-a(k)
カ エ ルガル・アク(ア)
門 家-属格 王-属格
「王の家の門」

この例では、e2 lugal-ak(「王の家」)全体が、さらに ka2(門)に対する属格修飾語として機能している。属格句がどれだけ長くなっても、構造は常に「名詞+(属格句)」という形を保つ。

ニン

💬 学びのコラム:属格連鎖はマトリョーシカ

ニン:`ka2 e2 lugal-ak-a(k)`(王の家の門)って、属格が入れ子になっていて最初は混乱しちゃった。

エン:マトリョーシカ人形を思い浮かべるといいよ。「王」を包む「家」、その「家」をさらに包む「門」。どれだけ入れ子が深くなっても、構造はいつも「名詞+(属格句)」の繰り返しなんだ。

ニン:一番外側の人形(門)だけ見れば、中に何が入っていても構造は同じってことね。

エン:そのとおり。焦らず一番外側から一つずつ人形を開けていけば、どんなに長い属格連鎖も怖くないよ。